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アルミニウム合金と表面処理の概要と解説


               
                  
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アルミニウム合金の説明
アルミニウムは現在幅広くいろいろなものに利用されていますが、その合金の種類も多岐にわたっています。大きく分けて展伸材と鋳物系(ダイカスト系)材料です。
ここでは、簡単に展伸材のJISによる分類を基にアルミ合金の種類と性質をご説明いたします。合金によってはご希望のアルマイト性能が得られない場合がございますので、詳しくは組合企業または事務局までお問い合わせください。
またJISの表示や記号などはハンドブックなどでお調べください。

JIS1000系 純アルミと呼ばれ純度が99%以上と高く加工性・耐食性・溶接性などに優れ、家庭用品・日用品・電気器具などに使用されます。また純度ごとに細かく規定されており、夫々陽極酸化によるアルマイト皮膜の光沢など異なります。同じ番号でも、圧延メーカーの違いにより仕上がりに差が出ます。陽極酸化皮膜はほぼ無色透明で染料の色によく染まる。
JIS2000系 ジュラルミン・超ジュラルミンと呼ばれ、強度が強いが、耐食性には劣るので必要に応じた表面処理が必要です。主に高強度鍛造材として、航空機材・リベット・機械部品などに使用されます。陽極酸化には不向きな合金であり、防食処理としてアルマイトが利用される。
JIS3000系 Mnの添加により強度を上げており更にMgを添加してより強い強度の合金としている。防食としてアルマイトを利用するが、装飾的には不向きな面が多い。主にアルミキャンボディー・電球口金・カラーアルミ(連続塗装焼付したもの:JISH4001)などに利用される
JIS4000系 Siの添加により熱膨張を抑え、更にCu・Ni・Mgなどの添加により耐熱性・耐摩耗性を向上させた合金で、鍛造ピストン材や外装建材等に用いられる。陽極酸化皮膜は灰色となる。
JIS5000系 Mgの添加量により合金の種類が多く、添加量の少ないものは装飾用材・高級器物などに使用される。耐食性や、溶接性も良く、陽極酸化処理も一般的に用いられる。
JIS6000系 強度・耐食性とも良好で、構造用材として用いられる。建築用のサッシ材として多く用いられる。また自動車・家電まで含めて押出し材などとして利用される。陽極酸化による表面処理は多く用いられているが、サッシ類では複合皮膜(アルマイト皮膜・クリアーコーティング)が多くもちいられる。
JIS7000系 Mg・Cu・Znを適宜添加してある。アルミニウムの中でもっとも高い強度を有する。溶接構造用材として鉄道車両などに用いられるほかに、合金の種類によりスポーツ用品にも使用される。陽極酸化処理は可能であるが、添加されている金属の影響を受ける。
アルマイトの説明
アルミニウムは素材のままでは軟らかくて実用に適さないので最も優れた表面処理方法として陽極酸化処理(通称アルマイト)を施します。これは素材のアルミニウムを陽極として硫酸などの溶液中で電流を流してアルミニウムの表面を酸化させることですが、この処理によって表面に形成された酸化皮膜は、硬度、耐磨耗性、耐食性が非常に高くなり、生地とは全く異なり優れた性質を有するようになります。

しかしながら、アルマイトと一言で言ってしまうほど単純な処理ではありませんので、少し細かく説明いたします。前段のアルミ合金と対比しながらご覧ください。

建築材料の下地処理としてのアルマイトから、建材サッシュ等のアルマイト、一色だけの染色や、多色アルマイト、文字や柄などの入った装飾アルマイト、エッチング処理(立体的表現)を利用した装飾アルマイト、などの他に、アルマイトとオフセット印刷、シルク印刷を組み合わせた処理まで多種多様の処理方法があります。
また一般的なアルマイトから、硬質アルマイト、機能アルマイトなどもあります。アルマイト処理の他に、アルミの表面処理としては、化成処理やコーティング処理など多種の方法が存在します。
JISH8601:陽極酸化皮膜      JISH8601:陽極酸化塗装複合皮膜
JISH8603:硬質陽極酸化皮膜   JISH8601:表面処理用語
       このほかにも多くの試験法や規格が規定されております。
日本工業規格(JIS)
一般的なアルマイトの断面
陽極酸化皮膜の更に大きな特徴は、電子顕微鏡で観察できる程度のとても微細な縦孔が無数に形成された緻密な組織になっていて、この細孔の中に染料などの細かい粒子を吸着させることが出来るという他の金属にはみられない特性を有することです。
この特性を利用して、表面全部又は所望の部分だけを任意の色に着色し、染料を皮膜中に密封させる為の封孔処理を施すことによって、繊維を染める様にアルミニウムを堅牢に染色することが出来るのです。
アルマイト染色はメッキや塗装と異なり、着色部の剥離や脱落がありませんので耐久性に優れています。
尚生成される皮膜厚さは合金の種類や各条件により異なりますが、同条件であれば電解時間に大きく影響いたします。但し膜厚には限界がありますので詳しくは表面処理業者とお打ち合わせください。
アルミニウムの立体的仕上げ法(エッチング法)
アルミニウムをアルマイト処理した後に、その表面の立体画像として残したい部分を耐食性の保護膜で覆い、アルミニウムを溶かす薬品中に浸漬すると、保護されていない不要部は溶解除去され(エッチング処理、図参照)所望の立体画像が得られます。溶解して凹となった地肌はアルミニウムの生地が露出しているため、この部分に更にアルマイト処理を施し、必要ならば染色することもできます。
こうして立体的な画像や文字が得られ、画像と地肌との前処理の相異による光沢や艶消し仕上げと染色の組み合わせによって、デザイン性に富んだレリーフやネームプレートが得られます。
●アルマイト処理の代表的なフローチャートは、こちらをご確認下さい。